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街から遠く離れた田園地帯を走り、山を抜けて海岸線を走った。泉沢の運転スポーツカーの助手席で、早いギアチェンジや速度のせいというよりも、泉沢と一緒にいることに麻里子はドキドキしていた。その上、初めて見る泉沢の普段着のセンスの良さにほれぼれしていた。
「泉沢さん。聞いてもいいかな。付き合ってる人っているんですか?」
「学生時代にはいたよ。吹田さんは?」
「ずっといないです」
「可愛いのに」
「性格が悪いせいです」
「じゃあまだ、オレに本性を見せてないんだね」
泉沢はスピードを上げた。
夕方に郊外の有名ステーキ店で二人は食事をしたあと、泉沢は麻里子を家まで送った。
「今日は楽しかったです、ありがとう。あの・・・」
「うん、オレも楽しかったよ。仕事頑張って。じゃあね」
麻里子は助手席から降りて、泉沢に手を振った。何か違和感を感じながら。
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