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早く任務に戻りたいと言い張るメルテを宥めすかして、なんとか二週間ほど療養させた。
そうしてリージェは久しぶりにメルテと共に自宅を後にする。作り直した術具――魔法を宿した針のようなもの――といくつかの魔法道具を携え、隣を歩くメルテの姿を垣間見る。
双剣の納品まではあと二週間。それでも任務に戻るならと、剣と盾の装備に甘んじるメルテは、それでも背筋を伸ばして凜としていた。
もともと剣と盾でもメルテは十分強かった。リィンとしてのランクだって、得意の双剣でなくともその辺の男たちよりもずっと上だ。
「怪我、減りましたね」
とはいえ、今日の対象には少々てこずった。
個体としての強さはそうでもなかったが、最初の一発を外してしまったが最後、分裂して面倒なことになってしまったのだ。
魔物と言われる対象には呪いの核と呼ばれるものがあり、それを専用の術具で壊すことによって呪いの浄化達成となる。けれどもその核は誰にでも壊せるものでなく、正規の方法で対処するにはリィンによる転生術が必要になる。それを術具に載せることで初めて核に触れることできるのだが、
「クッソ面倒だった……」
今回の対象は分裂したが最後、どの個体に核があるかわからなくなってしまったため、結果として掠めるたびに増えていくそれら全てをしらみつぶしにしなければならなくなった。
個々の力は弱くとも、とにかく時間がかかって疲弊した。しかも核を持っている本体はいつのまにか身を隠してしまっていたため、それを探し出すのにも手間がかかった。
リージェが魔法でフォローしようにも、動きだけは素早い対象を相手に空撃ちすることも多かった。リージェの魔法は強力だが、それだって当たらなければ意味がない。
ともあれ、前回の任務も含め、メルテはほとんど怪我をしていなかった。以前に比べればずっと軽い、かすり傷程度のそれにリージェは右手を翳し、傷口を清浄な状態にしてからガーゼを当てる。
「一度帰りましょうか」
「ん」
やはり双剣よりも剣と盾を使う方が被弾率は下がるらしい。リージェはひそやかに安堵する。
本音を言えば、防具の形状だってもう少し露出の少ないものに見直してほしかった。だがそれについては何度提案しても応じてくれないため、なかば諦めている。
それならそれで、自分ができることをするしかない。リージェはもっと精進しようと心に決めて、メルテと共に家路についた。いつのまにかすっかり陽は落ちて、空には星が瞬いていた。
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