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高星明
集められたのは4人。
この中に案内状を送ってきたヤツがいる。
案内状には『いつも幹事役ありがとう』と手書きの文字があったから、最初オレは朝日が送ってきたのかと思っていた。
朝日はオクビが復讐の為にオレらを集めたと思っているようだ。
でも、卒業合宿以降オクビが同好会に参加しなくなったのはオレらがイジメたからじゃない。
ちょうどその時期に後輩の佐藤さんが事故で亡くなったからだ。
アイツは佐藤さんに気があったから。
まあ、彼女は相手にもしていなかったけど。
それにオレはアイツにそんな度胸なんてないんじゃないかと思ってる。
だって、臆病者のオクビなんだから……。
まあ、でもそんなことはどうでもいいことだ。
誰がこの館にオレらを閉じ込めたかなんてオレには関係ない……。
逆に好都合だ。
案内状を送ってきたヤツは今頃油断しているだろう。
上手くオレらを館に閉じ込められたと一人悦に入っているかもしれない。
まさか反撃されるとも知らず……。
俺はスマホに懐かしい写真を表示させた。
卒業合宿の時のものだ。当然、そこにはオクビはいない。
写真の中の俺は無邪気に笑っている。
思えばこの頃が俺のピークだったのかもしれない。
卒業合宿でオクビの分は最初から予約していなかった。
金だけ取って、オクビだけ違う待ち合わせ場所を教えたんだ。
その浮いた金でホテルをアップグレードするなんて、俺も好き放題やってたな。
あの頃は怖いもんなんて何もなかった。
それが今はどうだ。
社内データを流出させて会社を追われてからはロクなことがない。
その後も仕事は長続きしないし、浮気がバレて妻には出ていかれた。
頼りにしてたオヤジの会社は潰れちまったし、今じゃ借金まみれだ。
俺が小さくははっと笑うと、乾いた空気が殺風景な部屋の中に流れて消えてゆく。
もう俺には守るものなんて何もない。
こんな人生、もう終わりにしてやる。
でも、朝日はまだ俺が金持ちだと思っているようだ。
平和ボケの能天気なヤツらを見ていると本当に腹が立つ。
朝日が一人で喋っているのが隣の部屋から聞こえてくる。
まだワインに仕込んだ睡眠薬は効いてないようだ。
後の二人は何か勘づいたんだろうか。ワインには口をつけなかった。
まあ、どうでもいい。
どうせこの館は密室だ。
全員、地獄へ道連れにしてやる。
上手くすればここにいないオクビの犯行にしたてて、アイツも地獄へ落とすことができるかもしれない。
さて、アイツらをどう殺るか。
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