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藤好身和
集められたのは4人。
この中に案内状を送ってきたヤツがいる筈。
私を脅迫しようとしているヤツが。
案内状に手書きされていた『あの夜は最高だったね』の文字。
あの夜とはどう考えてもあの夜のこと。
それをネタに私を脅そうとしている……。
あの頃は本当にどうかしていた。
性に奔放であることが大人の証のように思ってた。
若さもあったのかもしれない。
同好会の男とは殆ど体を重ねた。
あのオクビとすら。
だから案内状を送ってきたのはオクビではないと思う。
確かに高星のオクビイジメに同調した時もあったけれど、オクビにはいい思いをさせてあげたのだ。彼には感謝されることはあっても脅されるなんてあり得ない。
あんなキモい男、未だに彼女もいないに決まってるんだから。
夜通し興じたボードゲームと慣れない赤ワイン。
妙な高揚感と睡眠不足に、気づくと私は3人の男を相手にしていた。
厳密に言うとあの夜ではなくてあの朝かもしれない。
あの日あそこにいた3人がこの密室にいる。
朝日はオクビが復讐の為に私達を集めたと思っているようだから彼ではないのだろう。
いや、もしかしたらあれは私を油断させる演技かもしれない……。
高星は最近あまり上手くいってないと噂に聞く。
そして大自の細い目の奥は信用ならない光を放っている。
一体誰が……。
私はベッドの下から布に包まれた細長い物を取り出した。
さっき料理をした際にこっそりと持ち出した物だ。
私は子供と旦那を心から愛している。
今の幸せを守る為だったらなんだってやってやるわ。
この館はちょうど密室。
殺るか殺られるか。
白い布をパラリと捲ると、鈍い光を放つその刃に私は目を細めた。
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