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大自中也
集められたのは4人。
この中に僕を脅迫しようとしている人間がいる。
たった数万円だった。
ゲーム賭博に注ぎ込んだ借金。
同好会の会計係だった僕はほんのちょっとの間借りただけだった。
すぐ倍にして返そうと思っていた。
それを彼女がいちいち指摘してくるから……。
掴みかかってきたのは彼女の方だった。
僕はそれを振り払っただけ。
運悪く彼女は階段から足を踏み外して……。
非常階段の踊り場で頭から血を流して倒れている佐藤さんの姿が、今でも脳裏にこびり付いている。
結局何も疑われることなく事故として処理された。
誰も見ていない筈だった。
それが何故5年も経った今になって……。
案内状に手書きされた『非常階段知ってるよね?』の文字。
一体誰が……。
僕はもう既に一人殺っているんだ。
一人も二人一緒だ。
ちょうどこの館は密室。
皆殺しにしてしまっても構わない。
僕は鞄からサバイバルナイフを取り出した。
誰が犯人かわからないのなら、こちらから殺るまでだ……。
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