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 どうしよう 私は紅茶を少しずつ飲みながら、頭の中でぐるぐると考えていた。 さっき表紙が見えていた本は、私がいつも読んでいるBL小説なのに、竹居くんはなんで庇うようなことを言ったんだろう。きっと私のだってバレてるはずだよね? ふぶきがベッドから机の上にひょいと乗ったので、私も近づこうとした時だった。はじっこに積んであった本を崩してしまったのだ。床に落ちたそれを拾おうとして、あの本の表紙が目に入り、固まっているところに彼が戻ってきてしまった。何冊かはちょうど私のトートバッグを目掛けて落ちていったので、私はとっさに自分のだと思ってたんだけど。 『姉さんのだ』  偶然なのかな 確認したかったけど、あったはずの自分の本がやっぱり見当たらないので、あれは私のだと思う。  名前が書いてあるわけじゃないけど どうにも落ち着かない。 私が腐女子だとわかったら、竹居くんにどう思われるか… 「…桜井さんてば」 「はいっ」  呼ばれているのに気がついて我に返った。 「このクッキー美味しいよ」 「あ、ありがとう」  せっかく竹居くんのお家に来たのに、ふぶきとも仲良くなれそうなのに。紅茶もクッキーも味がよくわからない。 ベッドの上でふぶきがごろんと寝転んだ。  そうだ こういう時って  逆に話題にした方がバレにくかったりする?  さりげなく褒めたりとか  …いやいや  何で知ってるのって突っ込まれるか 「さっきの本さ」  竹居くんが急に話し出した。 「結構話題になったらしくて。知ってる?」  こ これは  天の助けか! 「あー、聞いたことはあるかな。…BL、なんだよね?」 「うん。初めはびっくりしたけど、何て言うかイヤらしいのじゃなくて、ブロマンスっていう…」 「うん! 男の子同士の濃い友情って感じの絆がアツいんだよ! …って何かで聞いたの」  『ブロマンス』と聞いて、私はついに黙ってられなくなった。BLよりも恋愛要素が少ない結びつきを差す言葉だが、まさにその絆に私はハマってしまったのだ。 「そうなんだよね! 僕も姉さんにそう聞いて、ちょっと気になってさ。読んでみる?」 「いいの?」  竹居くんは片付けた本からさっきの一冊を取り出した。お姉さんのものがあったのは本当らしい。自分のは後で見計らって回収しよう。 私はすっかり安心して受け取った本を開いた。
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