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学校の授業で自分の宝物を持って来て発表をするというものがあった。当時、リズにも宝物としているぬいぐるみがあったものの、それをクラスメートたちに見せることに抵抗感を感じていた。宝物は独り占めしていたいという気持ちが強かったのだ。 『それなら、おばあちゃんのコレクションを貸してあげよう』 リズの祖母が貸してくれたのが切手のコレクションだった。そして発表当日、リズのスピーチが終わった後、マシューが切手を見て言ったのだ。 『この切手、すごく綺麗だね!』 『そうでしょう?レアものなのよ!』 その時に交わした言葉はそれきりだった。しかし、マシューとその日から言葉を交わすことが増え、中学校も高校も同じ学校になり、恋の実がいつしか心に芽生えた。 高校生の頃にリズは想いを伝え、マシューと付き合うようになった。花瓶に飾られた花は長い間美しく咲き続けた。しかしその花は枯れ果て、枯れた愛を虚しくリズとマシューは見続けている。 「リズ。最近、ひまわりが咲いたんだ。あげるよ」 「ひまわり……。ありがとう」
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