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ため息を一つ吐き、リズはソファから立ち上がってチェストの方に向かう。チェストの上には、まだ普通の甘酸っぱいカップルだった頃のリズとマシューの写真がフレームに入れられて飾ってあった。
「いい笑顔」
幸せそうな二人を見て、リズは乾いた笑いを溢す。この写真を撮った頃、青く熟れていた二人は間違いなく幸せだった。互いにこの人しかいないと思い、花瓶に飾られた愛という花に水と栄養を与え続けた。
しかし、どこから間違えてしまったのだろう。小さな喧嘩と謝罪が積み重なり、水も栄養も花には与えられなくなった。否、与えても意味を為すことがなくなった。
リズはチェストの引き出しを開ける。そこには彼女が子どもの頃から集めているコレクションが入っている。小さな箱をリズは取り出し、机の上に置いた。
「その箱、懐かしいね。まだ集めてるの?」
声をかけられ、リズの肩がびくりと震える。いつの間にかマシューが部屋にいた。彼には合鍵を渡してある。いつでもこの部屋に来れるのだ。
「急に声をかけないでよ。びっくりするじゃない」
「ごめん。一応入る前にドアをノックしたんだけど……」
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