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愛とは、まるで花瓶に飾られた花である。水を与えて大切にしなければ枯れてしまう。愛も同じだ。何か行動をしない限り枯れてしまう。
リズ・シャルパンティエは街を歩いている際、ふと子どもの頃に読んだ小説の言葉を思い出した。何度も読み返したお気に入りの恋愛小説だ。その思い出してしまった言葉にリズはフッと笑ってしまう。
(私の愛はもうとっくに枯れちゃったわ……)
金糸のような長い髪が風に揺れる。サファイアのような碧眼はある一点を見つめていた。その先には女性と腕を組んで楽しそうに歩く男性の姿がある。リズの恋人であるマシュー・ホープだ。
マシューは栗色のボブヘアの可愛らしい女性に笑いかけている。普通のカップルならば、相手が異性と二人きりで笑っているなど浮気を疑い、怒り狂うだろう。しかしリズの心は冷めていた。心は凪いだまま、マシューを見つめている。
(そういえば、あんな風に笑う人だったわね)
マシューとは学生の頃から付き合い始め、交際期間は十年目を迎えた。しかしこの関係は甘酸っぱいものではない。苦味も辛味も通り越し、ただズルズルと続いているだけである。
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