そしてすべては元通り……とはいかないものでして。

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そしてすべては元通り……とはいかないものでして。

 それからは目まぐるしかった。  葉月が「あ、っていうかわたし、帰れるんですよね?」とスヴェンに話を向けてから、あっという間に葉月帰還の計画が詰められていき。  召喚された時にいた場所、時間に合わせて帰すことができると聞いた葉月が「せっかくだしもうちょっと異世界漫喫させてください!」と笑顔で言ったので、もうしばらくこの世界に留まり、いろいろと異世界探訪を楽しんだ、らしい。  らしい、というのは、エリシュカはそれに同行していなかったからだ。あの場で初めて顔を合わせただけで親しくはないので当然である。  ……否、街でおいしいと評判の喫茶店に誘われる程度には、あの場でのやりとりで葉月も心を寄せてくれたようだった。  ちなみにその誘いには勿論乗った。エリシュカには同性の友人がほぼいないためそういった経験がなかったので、二人だけのお茶会(とはいえ護衛代わりにエッドも近くには控えてもらったが)はとても楽しい時間だった。  葉月は概ねノアールを連れ回していたそうだが、その理由というのが意外というか、納得というか――実は葉月はノアールに惹かれていたらしい。
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