そしてすべては元通り……とはいかないものでして。

3/7
前へ
/130ページ
次へ
 そんなスヴェンは、相変わらず宮廷二位魔術師として勤めている。ついでに『異世界の少女』にまつわるあれこれも、主にスヴェンが当たり障りなくおさめたらしかった。  情報操作能力だけで生きていけそうな才能に戦慄を覚えたのは記憶に新しい。本人はそれを活用するつもりがそれほどないらしいのは良かったのか悪かったのか。  そしてスヴェンはどうやらエッドに対しての興味が尽きないらしく、「嬢さんあの二位魔術師しつこい!」とエッドが漏らしていた。  魔術で逃げ隠れしても類稀なる才能を発揮して追いかけてくるらしく、結果的にスヴェンの魔術の才を磨き上げることになってどうしようもないとの愚痴に、遠い目をするしかなかったのは仕方ないだろう。  しかしそんな、珍しく弱った様子のエッドを見たのも結構前のことで、現在はあまり顔は合わせていない。というのも、エッドは『国の贄』の仕組みをそこそこ穏便に壊すためにあちこち奔走しているからだ。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加