そしてすべては元通り……とはいかないものでして。

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 最も被害を受けた立場である『異世界の少女』たる葉月がこの一連の出来事について不問にしていることもあり、全ては内々に処理することになったため、表向きは何事もなかったかのように日常に戻ったし、スヴェン同様、相変わらずレーナクロードは聖騎士団長という立場のままである。  レーナクロードの不在を埋めていたアシュフォードの手腕もさることながら、何も知らない周囲がレーナクロードにその座を降りろと言うわけがないので当然と言える。  レーナクロードは、自分はその地位に在る資格がないから聖騎士団長を辞めると言っていたのだが、いきなり辞めても余計な騒ぎを起こすだけだから穏便に根回しをして辞めるようにと言い含められて渋々従った形だ。  レーナクロードに聖騎士団長という地位が相応しくない――主に心根において――なのはエリシュカも同意するところだが、表向きは何もなかったことになっているので、妥当な線だとも思う。  きっとスヴェンもレーナクロードも、いつかは穏便にその座を退くのだろう。特にその地位に固執していないだけとも言えるが。
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