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すべてが元通りになったかのように思えた日常の中、違っていたのがこの贈り物だ。
贈り主は無論――というべきかどうか微妙なところだが、レーナクロードである。
今は花ばかり贈られてきているが、少し前は装飾品だった。あまりこういうものを贈られても困る、とやんわりと贈り物をやめてくれるように伝えたつもりが、何故か花に変わったので、次はどう伝えるべきかが目下のエリシュカの悩みだった。
これはレーナクロードの誠意の形なのだろうというのは理解している。
エリシュカとレーナクロードの婚約は解消されたままだ。
そして解消を言い出した手前、レーナクロードから何事もなかったかのようにエリシュカに接触できないのも、当然のことではある。
だから物にこめて贈る、という手段を選んだのだろう。レーナクロードはそういう人間だ。
結局エリシュカは、あの一連の騒動の中でレーナクロードが自分に対して抱いている感情を確かめられていない。いないが、あんな馬鹿な真似をするくらいには憎からず想われているのだろうという客観的な分析はしている。
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