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眠るエリシュカを見つめながら独り言ちる。
自分がこれからやろうとしていることを――これまでやってきたことも含めて知れば、きっとエリシュカは怒るだろう。それとも呆れるだろうか。むしろ、それだけ済めばまだましだと言えるのかもしれない。
ただ、絶対に喜ばれないことだけはよくわかっていた。
ずっとずっと、共にいた。いつまでだって、一緒だと思っていた。
そこに恋があったのか、愛があったのか、或いはその萌芽があったのか、それすらも、もうわからない。
別たれることを考えたこともなかったのだ。傍にいることが当たり前で、なんだって共有できる相手で、一生共にいるのだと、根拠もなく信じていた。
――その道が断たれたことを、あの日からずっと、認められないでいる。
あの日。エリシュカが七つになった日。彼女に纏わる『託宣』が、先代の『託宣の巫女』たるレーナクロードの母に下りたのだという。
曰く、エリシュカ・アーデルハイドは、二十の歳を数えることなく、国の贄となる存在である、と。
それはつまり、二十を数えずに彼女がいなくなることと同義だった。
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