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エリシュカが死ぬことを受け容れなくていい未来を、あの日途切れて消えてしまった道を、繋ぎたかった。
それがただの独善だというのは承知の上で、足掻くことを決めたのだ。だから、後悔などない。
報われなくともいい。それを望んでいるわけではない。
ただ、生きてほしい。生き続けて、ほしい。
それだけだ。それだけがどうしようもなく難しくて、絶望的で――罪を犯さねば成し得ないというのなら、それすらも飲み込んで、叶えたかった。
エリシュカは、そんなレーナクロードの行為を絶対に喜ばない。喜ばない人間だからこそ、そうしたかった。
すべてが滞りなく進んだならば、エリシュカはきっと自分を許さない。幼馴染としての立場を維持できるとも思わない。
だからきっと、これが彼女の顔をまともに見られる最後の機会だろうと、険のない安らかな顔を記憶に刻み付ける。
そうしてふと、淑女の寝顔を無断でしかもじっくり見るなんて、と呆れる彼女を想像して、淡く笑った。
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