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【余話/最終話後】久しぶりの再会、あるいは彼の密かな胸の内
「ちょっと見ない間に、ずいぶんと部屋の趣味が変わったみたいですねぇ、嬢さん」
「……ちょっと見ない間に、少しはマシな性格になったんじゃないかと思ってたのだけど、その期待は裏切られたみたいね、エッド?」
「開口一番が遠回しな皮肉だなんて、むしろ悪化したんじゃないの?」とまで言ってくる『嬢さん』――エリシュカ・アーデルハイドという名の元契約主に「そっちの性格も相変わらずみたいで安心というかなんというか」と、エッドはにこやかな(これもエリシュカに言わせれば薄っぺらくて胡散臭い、となるだろう)笑みで返した。
この程度のやりとりは日常茶飯事だ。……『だった』、と表すのがより正しい。『国の贄』の仕組みを壊すことができると確定した時点で契約は終了している。仕組みを壊すのにエリシュカの存在は必須ではないため、彼女と顔を合わせる機会もそう無かった。
とはいえ、『国の贄』として選ばれた人間である以上、エリシュカに何か影響が起こらないとは断言できない。なので時折、遠見の魔術で様子を見てはいた。
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