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第4話 やっぱ顔!
「さあ、今夜は祝宴だ!」
ゴブリンがそう言い放つ。どうやら、私とゴブリンの結婚を祝う宴を盛大に開こうとしているらしい。
「え、ちょっと待って。まだ結婚とか決まってないよね!?いや、そもそも結婚なんてありえないし!」
私は慌てて否定する。だけどゴブリンはニコニコしながら勝手に話を進めている。
「お前が元の世界に帰りたいと言うならば、結婚が条件だ。だから、今夜はその前祝いだ!」
「前祝い!?そんなのいらないってば!」
もう頭がぐるぐるしてきた。なぜこんなことになったのか、全然わからない。確かに助けてもらったことには感謝してるけど、結婚だなんて無理がありすぎる。しかも相手はゴブリン。ごめん、やっぱりゴブリンは無理だ。
「さあ、さあ!祝宴の準備をしよう!」
ゴブリンはすでに準備に取りかかっている。他のゴブリンたちまで出てきて、わちゃわちゃと忙しく動き回っている。いつの間にこんなに仲間がいたの?
「え、ちょっと待って…他にもゴブリンがいるの!?しかもみんな結婚を祝ってるの!?うそでしょ!?」
私はパニック寸前だった。ゴブリンが数匹集まって、私と彼の結婚を勝手に祝ってる。なんか、どんどんおかしな方向に進んでいくんだけど!
「さあ、宴を始めよう。まずはお前の婚礼の衣装を用意する!」
「衣装!?そんなのいらないって!」
全力で拒否する私。だけどゴブリンたちはお構いなしで、勝手にドレスっぽい何かを持ってきた。いや、これドレスじゃなくて、なんか草と花でできてるんですけど!?何これ、どこの原始時代!?
「さあ、着てみろ。似合うはずだ」
「いやいや、無理無理無理!絶対に無理!」
私は必死に逃げ出そうとする。だけどゴブリンたちがどんどん寄ってきて、まるで私を囲むように取り囲んでくる。やばい、このままじゃ強制的に着せられる!
「助けてー!誰かー!」
私は叫んだ。でも、もちろん誰も助けに来るわけがない。だってここは異界だし、周りはゴブリンしかいないんだから。
「さあ、私と共に新しい生活を始めよう」
ゴブリンが優しく手を差し伸べてくるけど、私はその手を見てまた混乱する。いや、顔が…!顔がどうしても受け入れられない!
「やっぱり無理ー!顔が重要なのー!」
私は叫びながら、その場を全力で駆け出した。ゴブリンたちは驚いて後ろから追いかけてくる。
「待て!どこへ行くんだ!?」
「待たないよ!もう顔が無理なんだもん!」
私は全速力で森を逃げ回る。後ろから聞こえるゴブリンたちの足音が迫ってくるけど、必死で逃げ続ける。こんなところで捕まってたまるか!
「やっぱり顔がだいじー!」
私は叫びながらさらにスピードを上げた。元の世界に帰る方法はまだ見つかってないけど、とにかくここから逃げることが最優先。どこかに出口があるはず、そう信じて走り続ける。
だけど、ゴブリンたちはしつこく追いかけてくる。彼らの足音がどんどん近づいてくるのを感じて、さらに焦りが募る。やばい、このままじゃ捕まっちゃうかも…!
「いやー!やっぱり顔が重要なんだー!」
叫びながら、私はとうとう森の奥深くへと消えていった――。
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