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きのこ狩り
これは私こと「幽霊」のレイと、それをテイムし、幽霊テイマーとなった少年、「ソウタ」の受けた、とある依頼の話である。
「ソウタくーん、あっちにいっぱいあるよ」
「わかった」
ピョロピョロと空中を漂いながら、地上のソウタに薬草の群生地を指差す。
──ソウタが受ける依頼のほとんどは薬草採取である。これは私が勧めたことだ。
レッドウルフの死体の一件でひと騒動起こしてしまった私達──というかソウタの噂はあっという間に広がった。
今やソウタはギルド内で「レッドウルフを1人で倒すヤベェ子供」「舐めた態度をとった奴には、実力行使も躊躇わないヤベぇ子供」で通っている。
まあ、大体私のせいなのだが、このまま同じようにモンスターを狩り続ければ、今後考えなしだったり命知らずだったりの冒険者達に目の敵にされて、嫌がらせを受けるかもしれない。
そんなのはつまらない。
ソウタは、馬鹿にされるだのなんだのとゴネて、最終的に「必要に迫られたら狩ってもいい」という妥協案に頷いた。それでも多少は不貞腐れていたが、おかげで今日まで恐れられたり軽くからかわれることはあっても、嫌がらせを受けることはなかった。ソウタは物足りないかもしれないが、これで良かったのだ。
下からソウタの呼ぶ声が聞こえる。
「レイちゃん、そろそろ戻ろう」
「はーい」
私は薬草を抱えたソウタを追いかけて、隣に並んだ。
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