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受付嬢が目を開けた。僕はにっこりと笑いかける。
「そんなわけで、信じてもらえましたか」
彼女は蚊の鳴くような声で返事をした。
「は、はい……すいませんでした……」
僕達のやり取りを見届けたレイちゃんがお座りの態勢をとる。
「あるじ、もどる」
「あ、うん」
僕はレイちゃんの前に膝をつき、小さく呟く。
「降霊術、解除」
それを合図に、レイちゃんは幽霊の姿で死体から抜け出し、レッドウルフの死体は床に倒れ伏したまま動かなくなった。
よかった。これはちゃんと解除できた。内心不安だった僕はホッと胸を撫で下ろした。
その後──レッドウルフの死体はちゃんと買い取ってもらえて、僕はこの夜、いつもより柔らかいベッドで眠ることができた。
それにしても──……。
「レイちゃん、雰囲気出しすぎでしょ! 笑いそうだったよ!」
「ふふふ。ああいうのはインパクトが大事なのよー」
どうやらレイちゃんはなかなかアグレッシブな「幽霊」なようだ。
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