第2話 高校時代の恋人、そして現在のガールフレンドと

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 俺もさすがにやや腕が疲れたので、彼女が置いたところでひとまず袋を下ろした。肩を上下させると、ぽきぽき、といい音がする。  湿気が多いせいか、何となく汗ばんでいるペンキ塗り鉄骨の駅柱にもたれて、ちょいと一服、と俺は煙草を取り出した。紗里は煙草は嫌いなので、彼女の部屋に行くと吸えない。今のうち、だ。  ふう、と息をつきながら、ぼんやり、辺りに視線を飛ばす。  この時間は、勤め帰りの連中のラッシュがひと段落する時間だった。そして次第に「駅前」にガキどもが集まり出す時間だった。  時々紗里の部屋に行く関係で、この駅はよく俺も利用している。  週末なんぞは、何処からやってくるのか、中坊高校生のガキどもがうじゃうじゃと集まってくる。古典的ヤンキーからチーマーやら、ロックやってます兄ちゃんだの、ゲーマーだの、何処から見てもただのガキ、とか、塾さぼってやがるなこいつ、まで千差万別だ。  だから、その姿を見かけた時も、俺は別に疑問に思わなかった。  ……マキノ? 「お待たせ。あれ、どうしたの?」 「ん、いや、知ってる奴じゃないかなって……」 「高校生?」  うん、と俺はあまり目立たないように彼女に示す。 「小柄だね。華奢ぁ。可愛い子じゃない」 「可愛い?」 「だって、そう思わない?」 「……おい、うちの新しいバンドのメンバーだぜ?」 「へ? 高校生って言ったじゃない」 「高校生は本当。だけどすげえ上手いの。ベースの腕はぴか一」 「ふーん…… まああんたのベースに関する目は信じましょ」  そして彼女はよいしょ、と一度置いたスーパーの袋を持ち上げた。 「挨拶してかないの?」 「え? ……あれ」  どうやら連れが居るらしい。奴は少し目を離したすきに、別の誰かと話していた。 「……ま、別にいいさ。また会えるし」 「ふーん……」 「それよっか俺、腹減った。急ごう」  そーよね、と彼女は言った。 
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