癒し

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集める集める。 綺麗な宝石のような魚を集める。 背中が光る子、ヒレの長い子、まん丸い体をした子。 どの子もキラキラと輝いたり、美しいヒレを羽衣のようにたなびかせたり、ぷりぷりと泳いだり……。 それぞれがそれぞれに、可憐に舞い泳ぐ。 小さな宝石を沢山沢山集めたい。 けれど、生まれた時はまだ宝石じゃない。 まるでみにくいアヒルの子。 成長するに従って美しくなり、やがてキラキラと輝く宝石になる。 ただ、小さな宝石の卵は、無事に孵化するまでにかなりの数が死んでしまう。 卵から生まれた後も、無事宝石になるまでに何匹も何匹も死んでしまう。 生と死がものすごいスピードで繰り返され、やっと大人になっても、その命はたったの1、2年。 小さな宝石達は儚い。 だからこそ、無事宝石になれた子は、生きる事を謳歌するように、これでもか! と美麗な姿を見せつける。 宝石達が輝ける時間はそんなにない。 その儚さを憂い、その美しさに魅了される。 だから、小さな宝石を集め続ける。
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