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彼と居られなくなって、万が一にも別れる事になるとしたら、私はもう二度と恋愛はしないと決めている。
それくらい、竜之介くんの事が大好きで、大切なのだ。
「……竜之介くん……早く、帰って来て……」
こうしている間にも、彼は他の女の人と二人きりで居る。
その事実が悲しくて、切なくて、泣きたい気持ちを必死に抑えながら、愛しい彼の帰りを願う。
すると、まるで願いが届いたかのように玄関のドアが開く音が聞こえて来て、
「亜子さん、ただいま」
急いで帰って来てくれたのか、少し息の上がっている竜之介くんが姿を見せてくれた。
「竜之介、くん……」
彼の姿を見た瞬間、色々な感情が一気に押し寄せて来てしまい、
「亜子さん……どうしたの?」
「……っ、う、……ひっく……」
気づけば、涙を我慢出来なかった私は心配する彼の胸に飛び込んでいた。
「亜子さん……、もしかして、一樹に、何か言われたの?」
「…………っ」
「お願いだから、話して?」
「……っ」
「……今日、俺が何をして来たのか、聞いた?」
彼のその言葉に、小さく頷く。
「……そっか、ごめん。隠すつもりは無かったけど、余計な心配掛けたくなかったんだ。きちんと話すから、亜子さんも何があったのか話してくれる?」
話していいのか、話すべきなのか、少し迷う。
だけど、これはもうきちんと話し合うべきなのかもと思った私は「……わかった」と彼の問い掛けに答えて、小さく頷いた。
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