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鮫島 竜之介さん。
黒髪アップバングのカジュアルショートヘアで、背はそこまで高く無いけど程よい筋肉質の男らしい身体つきで、芸能人顔負けなスタイルと端正な顔立ち。
大家さんの話によると、年齢は二十四歳と私より六つも年下の男の人だ。
そんな彼とはあくまでも隣人という間柄。
正人の事があるまでは挨拶くらいしかした事も無い。
そんな彼が何故?
いくら困っていると言えど、頼ってだなんて。
確かに、男の人が助けてくれるなら心強い。
私は両親と折り合いが悪くて実家に頼る事が出来ない上に、口下手人見知りで友人すら少なくて誰にも頼れない状況だったから。
「でも、私……」
「ママ?」
目が覚めてしまったらしい凜が踏み台を使って玄関のドアを開けたようで、私と鮫島さんの元へ顔を出してくる。
「……そいつ、凜……だっけか?」
「あ、は、はい」
「アンタもそうだけど、子供に何かあったら困るんじゃねぇの?」
「それは、勿論……」
「あの男がきちんと諦めるまで、俺を頼ってよ。必ず助けになるから」
「でも……」
「ま、急にこんな事言われても戸惑うよな。ちょっと待ってて」
なかなか首を縦に振らない私を見かねた鮫島さんは何かを思いついたようで一旦部屋へ戻って行き、
「これ、俺の番号。何か困った事があったら何時でも掛けてきて。今日みたいに部屋に俺が居る時は、直接声掛けてくれていいから。それじゃあな」
自身の電話番号を書いたメモ用紙を私に手渡してくれると、それ以上何かを言ってくる事無く再び部屋へ戻って行った。
こんな風に言われたのは初めてだったからだろうか。
私の胸は、密かにときめいていた。
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