321人が本棚に入れています
本棚に追加
8
高速を使って一時間くらい掛けて目的地でもある子供向けの遊園地へとやって来た私たち。
こうして三人で出掛けるのは付き合う前からしていた事だからあまり意識するところは無かったものの、園内に入り、凜が乗りたいというジェットコースターへ向かおうとした時の事、
「亜子さん」
凜を左手で抱き上げていた竜之介くんは空いていた右手を差し出してきた。
「……?」
私がその手の意味に気付けなくて首を傾げていると、
「手、繋ごう? デート、なんだからさ」
言葉にされて、ようやく理解する。
これまではあくまでも隣人であり、知人のような関係だったから見て回る時に手を繋ぐなんて事はしなかったけれど、今は付き合っているのだから、手を繋いでも普通の事なのだと。
「……うん」
だけど、いざ繋ぐとなるとちょっとだけ恥ずかしさを感じてしまう。
おずおずと彼の手を取ると、そんな私の指に自身の指を絡めてギュッと繋がれた。
そんな些細な事に私の胸はキュンと高鳴る。
繋がれた手の温もりが温かい。
速まる鼓動が伝わってしまいそうで、恥ずかしい。
傍から見ると、今の私たちは夫婦であり、家族に見えるのだろうか。
そんな事を考えながら、終始ご機嫌な凜や常に私や凜を気にかけてくれる竜之介くんと共に楽しいひと時を過ごしていく。
最初のコメントを投稿しよう!