8

4/8
前へ
/111ページ
次へ
「亜子さん、何か見たい物ある?」 「凜の服を見たいなって思ってるんだけど、いい?」 「勿論。子供服売り場は二階に纏まってるみたいだね、行こうか」 「うん」  次に私たちは子供服売り場へと向かい、安くなっていた服を数着購入した。  それから通りがかりに雑貨屋さんを見つけた私は覗いてみる事に。  雑貨屋を見て回るのは元から好きで、可愛い物を目にすると色々欲しくなる。  その中でも気になった物が二つあって、一つはクマの絵が描かれたペアのマグカップ。  恋人と同棲していると憧れるのはやっぱりペアの物だと、私は思う。  けど、いい歳してペアに拘るのもなと思って、手にしたもののすぐに棚に戻した。  それからもう一つ気になったのはハートをモチーフにしたピンクゴールドのネックレス。ハートの部分にパールが付いているシンプルな物。 (こういう可愛いの、全然持ってないから新調したいなぁ)  思えば凜が生まれてからはアクセサリーなんて付ける機会も無いから意識的に遠ざけていたけど、今日は一応『デート』でもある訳で、こういう可愛いアクセサリーの一つでも身に付けるべきだったかなと密かに後悔した。 「亜子さん、何か欲しい物あった?」 「え? あ、ううん、特には。それだけ買ってそろそろ次行こっか」  結局雑貨屋さんでは料理に使う調理器具や食器をいくつか購入して、その後は日用品などを見て回り、欲しいと思っていた物はある程度買い揃える事が出来た。  車に戻って来て荷物を積み終わった時、竜之介くんは何かを思い出しかのように声を上げる。 「あ!」 「どうかした?」 「ああ、ちょっと買い忘れた物があったのを思い出したんだ。悪いけど、少し待っててくれる?」 「うん、分かった」  どうやら買い忘れがあったようで私と凜を車に残し、一人店内へと戻って行った。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

321人が本棚に入れています
本棚に追加