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暫くして、買い忘れた物を買って戻って来た竜之介くんの手には紳士服が売っているお店のショップ袋があって、それをトランクにしまうと運転席に着いた。
「ごめんね、待たせて」
「ううん、平気だよ」
「凜は、寝ちゃったの?」
「うん、今日は結構はしゃいだからね、疲れたんだと思う」
「そっか。それじゃあ、帰ろうか」
「うん」
何を買ってきたのか気にはなったけれど、そこまで詮索するのは違う気もして、特にその事には触れなかった。
帰り道にコンビニに寄ってお弁当を購入した私たちは夜八時過ぎくらい自宅へ戻ってきて、お風呂を済ませて買ってきたお弁当を食べながら三人で今日の出来事を振り返りながら『また行こうと』と約束を交わした。
遊園地の途中やショッピングモールからの帰り道で眠ってしまっていた凜はなかなか寝付く事が出来ず、日付が変わるくらいまでぐずりながらもようやく眠ってくれた。
「亜子さん、お疲れ様」
「竜之介くん、ありがとう」
リビングに戻って来ると、竜之介くんがハーブティーを淹れたカップを差し出してくれたのだけど……
「あれ? このカップ……」
差し出されたマグカップは、何やら見覚えのあるものだった。
「亜子さん、欲しそうだったからさ、内緒で買ってきたんだ」
そう、そのマグカップは今日雑貨屋さんで見ていたペアのマグカップで、竜之介くんの手には私のと色違いのカップが握られていた。
「俺も、亜子さんとお揃いの物欲しいと思ってたからさ、嬉しいなって思った」
「竜之介くん……」
これにはびっくりしたし、言葉では言い表せないくらいの嬉しさが込み上げて来る。
だって、内緒で買って来てくれただけではなくて、竜之介くんもお揃いの物を欲しいと思ってくれていたのだから。
「ありがとう、凄く嬉しい」
涙が出るくらいに嬉しくて、私は笑顔でお礼を口にした。
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