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どうして彼は、こんなにも私が望む事をしてくれるのだろう。
「喜んでくれて俺も嬉しいよ……亜子さん、ここに来て?」
手にしていたマグカップをテーブルに置いた竜之介くんは、隣に座る私にもう少し近づいてくるよう手招きする。
「……うん」
ちょっとだけ恥ずかしかったけど、今は凄く彼にくっつきたい気分だった私は迷わずそれに従った。
すると、後ろから抱き締められて彼に包み込まれるような形になって、恥ずかしいけど幸せな気分に心が躍る。
「今日、凄く楽しかった。凜も楽しそうだったし、俺的には、本当の家族みたいな感覚だった」
「……私も、楽しかったよ。凜を可愛がってくれて、それだけでも私は幸せなの。私も、本当の家族みたいな感覚だった」
「これからも、休みの日は色々なとこに出掛けよ?」
「でも、それじゃあ全然休めないよ?」
「いや、俺は凜や亜子さんが幸せなら、それだけで疲れも吹っ飛ぶし癒されるから、充分休めるよ」
「もう、竜之介くんってば……そういう事ばっかり言う。でも嬉しい……ありがとう」
何だか私は、彼に甘やかされてばかりな気がする。
「――亜子さん、ちょっと目、閉じてくれる?」
「目を?」
「うん。いいって言うまで、開けないでね」
「……分かった」
突然竜之介くんから目を閉じて欲しいと言われ不思議に思いながらも素直に従い目を閉じる。
少しだけ不安に感じながらも彼が『いいよ』と言うのを待っていると、
「――ッ!?」
急に首元に何かひんやりした物が触れて思わず声を上げそうになる。
「ごめん、びっくりしたよね。もういいから、目開けて」
そう言われて瞳を開いてみると、
「嘘……どうして?」
胸元では、雑貨屋さんで見たあのハートのネックレスが光っていた。
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