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 自室に戻り、真理愛は本棚の前にしゃがみ込んで立てた絵本の背表紙を見つめる。  絵の具が滲んだようなフォントの平仮名で記された『きらきらをさがしに』という文字を、何度も視線でなぞる。  世の中に同じ本はそれこそ星の数ほどあるだろう。きっと今も版を重ねているこの絵本なら。  けれど真理愛の大切な『きらきらをさがしに』は、数多の中でも目の前にある擦り切れたたった一冊きりなのだ。  ──「育ててありがとう」なんて言ったら、たぶんパパもおじいちゃんとおばあちゃんも怒る。ううん、哀しむかもしれない。  だから敢えて声には出さない。  どんなにみすぼらしくなっても、この絵本が真理愛にとっては変わらず煌めく宝物であるのと同様に、家族もまた何にも代え難い大切なものなのだ。                               ~END~
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