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 そしてタクシーに乗り込んだ響騎さんは、ドッと疲れが押し寄せたのか、私にもたれかかって溜め息を吐いた。 「お疲れ様でした」 「うん。華も疲れただろ」 「そうですね。なんだかんだ、リンダさんに引っ掻き回された感じもしますけど」 「でもまあ、伯父さんのおかげで会長に変な気を回されずに済んでホッとしたよ」 「てまりさんの件ですか」 「俺だけじゃ、断っても納得しなかったかも知れないからな。でもまあ、華が狸オヤジの娘だって分かった途端、満更でもなさそうだったから大丈夫だろ」 「政財界との繋がりを期待なさってるんでしょうか」 「どうかな。少なくとも自分の末娘と縁戚婚させるより、メリットが大きいとは考えてるだろうな」 「メリットですか。私は槇村の問題児ですけどね」  同じように響騎さんにもたれかかると、彼はさりげなく私の腰に腕を回し、面倒臭い世界だよなとボソリと呟いた。 「響騎さんがしたいなら、私はどんなことでもサポートしますよ」  響騎さんが今更ウラノを辞めることなんて出来ないと分かってはいても、そんな言葉がつい口を衝く。 「ありがとな。その言葉だけで充分だよ」  そう答えて頭をコツンと寄せると、響騎さんは相当疲れた様子で目を閉じて黙り込んでしまった。 (なんだか今日まで本当にバタバタしたな)  思えば響騎さんと再会してから、怒涛の急展開に押し流されてしまったけれど、彼と私の関係は改めて始まったばかりなんだと思うと軽い眩暈がする。
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