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「まあ、人には苦手なもんあるしなぁ。んじゃ俺はビールにしよ。お前らは?」
「はいはーい、俺はコークハイ」
「俺はレモンサワー」
「じゃあ俺はー、とりあえずジンバックかなぁ」
柿沼、谷口、北海もそれぞれ飲みたいものを決めて、つまみも適当に注文する。品物がくるまでの間、4人の視線は山田に注がれた。柿沼と谷口は街位と北海の手前、騒ぎ過ぎないように絡み方を抑えているのかもしれない。逆に北海と街位は山田の緊張が伝わるからか、無理に声をかけるのもなと静かに見守っていた。
「てか山って今なにしてんの?スーツだから会社員?」
「えぇと、そうだね。マーケティングとかかな」
「山らしいな。数字と真面目に睨めっこ」
「高校の時もしっかり授業聞いて優等生だったもんな。そんな奴が踊るとキレッキレだしクールでかっこいいーって女子たち騒いでたよね」
柿沼の言葉に谷口が頷く。山田からしたら女子が騒いでいたことなど初耳だが、友人2人がそうだというのならそうなのだろうと反論もしなかった。そんな話を聞いていた北海が「へぇー」と話に混ざる。
「確かに、柿沼や谷ちゃんとはまた違うタイプだもんねー。おりこうそう」
「ちょ、北海さん酷くね?山、俺もおりこうだよね?」
「柿沼は騒がしいだけだろ」
「リーダー!谷ちゃんヒドイんだけど!」
賑やかな時間が居酒屋内で続く。品物も運ばれてお酒も進み、少しずつ打ち解けて会話ができるようになった頃、柿沼が再び山田に絡んできた。
「山!山は、もっと自信もっていいの!山のダンスはかっこいい!俺が保証する!」
ヘラヘラと笑いつつ山田にしなだれるように絡む柿沼。
「柿沼くん飲み過ぎだよ」
「平気ぃ!な?谷ちゃんもそー思うよね?山は最高だってぇ」
話を振られた谷口はぐびっと酒を飲み干して「おう」と頷く。
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