1人が本棚に入れています
本棚に追加
「山はごちゃごちゃ考えすぎだけど、こうって決めたら曲げねぇからな」
「へぇ、芯が強いんだねー。あ、俺も山って呼んでいい?」
北海がそう返すと山田は頷く。いつのまにか3人の飲むペースが早く、気づけば柿沼と谷口と北海に絡まれる山田。そんな山田を街位は静かに見守っていた。
「いやーーー!楽しい!な、山もそろそろ緊張とけたっしょ?飲もうぜ!」
「柿沼、それアルハラじゃねぇ?」
「え!そーなん?ただ飲みたかっただけなんだけど」
「まあまあ、山が飲みたいなら頼めばいいしー。で、何飲む?」
「北海さん、言ってる事とやってる事矛盾じゃん!」
「あははは!」と柿沼が大笑いする中、山田もなんとなく気分が高揚してきた。確かに一杯だけなら……と、別に弱いだけで飲めないわけではないしと。
「僕も飲みます」
そう宣言すれば、柿沼と谷口は大笑いする。北海もそれに笑いながら酒を飲んでいた。
山田はといえば、出てきた一杯を半分くらい飲んだところで顔を真っ赤にし、頭がゆらゆらと動き始めた。
「山ー?だいじょぶか?」
「だいじょうぶれす」
「舌回ってねーぞ。大丈夫かよ」
心配する谷口をよそに山田はテーブルに頬をつけて、視線を少し上げる。そこには優しく微笑む北海の顔があった。
「……北海さん……」
「ん?」
「…………僕……」
「……うん」
何か言いかけるが、そのまま寝息を立て始める山田に4人は顔を見合わせる。そして、その寝顔を見て4人はまた笑った。
***
「んっ……」
山田は寝苦しさからそっと目を開けた。視界に入った景色がいつもの自分の部屋とは違う。
「……あれ……?ここどこ……」
最初のコメントを投稿しよう!