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寝起きの頭を必死に働かせて状況を把握しようとする山田。だが、考えれば考えるほど頭が痛くなる。それでもなんとか記憶の糸を手繰り寄せると、居酒屋で飲んでいたところまでは思い出した。そこからの記憶が一切ない。
「……僕……もしかして……」
そこでふと気づく。自分は今ベッドに横になっている。そしてこのベッドは恐らく誰かのものではないかと推測した。そっと顔を横に向けると視界に入る街位の姿。
「え!なんで!」
慌てて体を起こすとズキンと頭に痛みが走る。山田の声に気づいたのか、ソファで寝ていた街位が目を覚まし、山田の方を見た。
「おう、起きたか」
「あ、あの……僕はどうしてここに……」
「あー、お前が寝落ちしたから連れてきたんだよ。柿沼や谷ちゃんの方がいいと思ったけど、あいつら部屋汚いとか狭いからーとか言い出すし。それみて北海がメンバーの不始末はリーダーが処理しないとって俺の家を指定したわけ。お前ん家知らねーし」
そう言われて見渡せば確かにそこは自分の部屋ではなかった。そういえばタクシーに乗せられたような気がと少しずつ思い出してくる。しかしそこから先がどうしても思い出せないのだ。
「……僕なにか失礼な事言いませんでした……?」
恐る恐る聞く山田に街位は大笑いする。
「いやいや?特に何もないけど。ああ……そういや、可愛いことは言ってたな」
「え!その、何を……」
山田は不安になる。いったい自分は何を言ったのか。しかし街位は口の端を上げてニヤリとするだけ。それがますます山田の不安を煽った。
「ま、柿沼や谷ちゃんのいう通りの真面目くんってのがわかったってことかな」
「あの、意味がよくわからないんですが」
「気にしなくていいってことだよ。ああ、そうだ。おまえに聞いておきたいことがあるんだが」
「はい?」
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