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いよいよ裁判の日がやってきた。カイトには自信があった。ロボットの権利が認められるという自信が。マイには傍聴席で見守ってもらうことにしていた。留守番ということも考えたが、今回の裁判はマイに見届けて欲しかった。
裁判はすぐに決着がついた。ロボットの権利を認める形で。カイトは思わずマイと抱き合った。これは大きな一歩だ。
「カイト、おめでとうございます」
「ありがとう。今回の一件でマイにもいい影響があるといいんだけれど」
マイが口を開けかけた時だった。マイの肩越しに銃口がこちらに向けられているのに気づいたのは。
「マイ、危ない!」
そう叫んで身を伏せるが遅かった。男が「ロボットには死を」と言うと同時に、パーンという音が響き、マイの身体を銃弾が貫く。
「マイ、伏せるんだ! これ以上、撃たれたら身体がもたない!」
マイはカイトに覆いかぶさると「ワタシはダイジョウブですから」とつぶやくなり、反応がなくなった。それはロボットであるマイの死を意味していた。
「マイ……」
まさかロボットの権利が見認められたその日に、マイを失うとは思ってもいなかった。カイトはマイを抱き起すと誓った。ロボットの権利が当たり前になるまで、マイのために戦い続けることを。
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