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ロボットにも権利を
カイトには身寄りがなかった。小さいころに、家が炎につつまれ、なんとか救出されたのはカイトだけだった。親戚もいないカイトを育ててくれたのは、マイだった。マイがいなければ、今のカイトはないだろう。
カイトは弁護士だった。正義の味方になりたかったのだ。なぜ、警察官ではないか。それは、火事の際に右腕を損傷したからだ。あの火事がなければ、と考えることは多々あった。
「カイト、無理をしてはダメですよ」
「分かってるって」
いつものことだ。マイがカイトの体を気遣うのは。
いつものように新聞を眺めていると、「ロボット反対派によるデモ行進発生」という記事が目に入った。ここ数年、ロボット反対派が急増している。それもそのはず、ロボットの普及によって単純労働者は仕事を奪われたからだ。タクシー運転手、コンビニの店員に警備員。多くの人々は職業を失ったが、弁護士という職業は例外だった。
カイトの義手はロボット工学の粋を集めたものだ。そういう意味でロボットに生活を支えられているカイトからすると、反対派の過激さは理解が出来なかった。
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