手紙

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 奇妙な文面。そして、何よりも奇妙なのは同封されていた錠剤のシート。  錠剤なんて生理痛の際の痛み止めくらいしか飲まない。  何かの試供品だろうか。  だとしてもさすがに薬は怪しすぎる。  大学でも時々、いわゆる違法ドラッグに対するうわさが出回ることがある。怪しいセミナーには参加しないこと。おかしな薬をもらっても飲まないこと。云々。嫌というほど言われている。  しかし、死にたいと思った瞬間にこんなものが届くなんて。  手紙の文面、愛を失った人、というのが嫌に目につく。  どういう意味なのだろう。  しかし、死にたいと思った瞬間にこんなものが届くなんて。  手紙の文面、愛を失った人、というのが嫌に目につく。  どういう意味なのだろう。  あまりに皮肉すぎる。  薬のシートはよくある痛み止めなどと大差ないように見えた。それこそ市販の薬を入れていたずらに怖がらせているだけにしか思えない。  どうせ、もう全てがどうでもよくなっていたのだ。  指が、シートのアルミをなぞる。  錠剤を押すと、簡単にアルミが破けて手の上にそれは現れた。  薄いオレンジ色の小さな錠剤。  ビタミン剤のようにも見える。  小さいそれは、たやすく口の中に入った。舌先にのせ、唾液で飲み込む。  ごくん。  喉が鳴った。
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