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彼岸の夕暮れ
空が橙から藍へと変わる頃
赤い花が風に揺れる
川辺に咲いた赤い花は
夜に覆われ葉が色を失っても褪せることはない
誰の目にも映るその花は
それでも誰の目にも留まらない
川は緩やかに流れ行く
しかし日の落ちた中では
その深さまで知ることは出来ず
誘うようにせせらいでいる
此の方 彼の方
その分かたれた世を見るのは何方だろうか
その者の瞳が映すもの
それは羨望か
それとも憐憫か
郷愁か 慈愛か
怨恨か 謝辞か
それとも・・・
岸辺に咲いた紅い花
その忌むべき花よ
この愛おしき華よ
血潮の如く細やかに
幾線の軌を標しながら
いつまでも
どの時代にも
共に泣いてくれるだろうか
【終】
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