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家に帰ったら結衣が机に向かっていた。
「ただいま、結衣勉強か?」
「お兄ちゃんおかえり。図書委員だから本の紹介文書いてるんだ」
“読書の秋、あなたの「運命の一冊」を見つけよう”
というタイトルで紹介文を書いていた。
「『走れメロス』にしたのか?」
「うん、お兄ちゃん知ってる?」
「身代わりになった友達のためにメロスが走る話だろ?」
「そうだよ、妹の結婚式に参列してから親友のために走るんだよね」
「妹の結婚式……」
「どうしたの?お兄ちゃん」
駄目だ。結衣の花嫁姿を見たら燃え尽きて、走れる気力も体力もない。
「オレだったら妹の結婚式の前に激怒しないかな。」
「それなら話が始まらないね」と笑う結衣。
「結衣の花嫁姿を見た後なら自暴自棄になってあらゆることに激怒しそうだ。」
「たちの悪い酔っ払いみたいだね」とケラケラ笑う結衣。
結衣ももうすぐ9歳。いつか彼氏が出来るんだろうな…
「でも頑張るお兄ちゃんがカッコいいし好きだな」とふわりと笑う結衣。
オレの妹本当に可愛い。
可愛い結衣ちゃんのためにカッコいい兄になろうと誓う黒崎くんだった。
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