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もうひとつの野望
「おやおやばれておったか……」
「当然だろ? この地にある国は十国だ。普通に考えればその地の鬼から討伐するのが普通の考えだ。しかし囨頭憑雲……お前は隣国の偸盗から案内した。なぜか……それはお前が鬼だからだ……」
「ふっ……なかなか鋭いな……しかし、残念ながらわしは鬼ではない……なぜなら殺生はわしが倒したからだ……この刻まれた文字はただわしが殺生を倒した証というだけのこと……」
「お前は何がしたい? 囨頭憑雲よ……」
「なに……簡単なことよ……殺生を倒した特、このまま残り九匹を倒すのは至難……ならば纏めて葬ることのできる男に任せて纏めあげた男を最後に倒せば労は軽くなるじゃろ?」
「馬鹿が……俺に勝てるのか? お前に……囨頭憑雲よ……」
「お前は強いがその手負いの身体であれば……楽じゃろ? なんせわしも殺生を倒すくらいはできるのだから」
そう言いかけた瞬間、賀集丸の刃は跳ね目の前の男を切りつけた。
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