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数を数える……
「おっと……」
切りつけられた囨頭憑雲はぐらつく。頬に傷が入り血を滴らす。
「なんだ? これさえかわせず俺を倒せるのか……囨頭憑雲よ」
「相変わらずよの……賀集丸」
囨頭憑雲はかまわず突っ込む。ひらりとかわす賀集丸。
「遅いぞ……囨頭憑雲」
賀集丸は手負いでも容易に囨頭憑雲切りつけていく。
「強いなぁ……賀集丸よ……しかし、今はすでに五回だ……」
「何を言っている……囨頭憑雲よ……乱──!」
無数に見えるほどの剣先が囨頭憑雲を襲う。
「くっ……」
賀集丸の刃は片目を切り裂いた。片目を潰される囨頭憑雲。
「さすがと言うしかない。しかし、これで六……」
「何を数えている……囨頭憑雲」
「何……お前の愚かさだよ……七……」
囨頭憑雲は笑う。切りつけられながらも笑う。
──まだ、持つかこの身体……しかしなんとしても持たせねば──
「残念だったな……お前が何を数えているかは分からぬが……お前はここで俺に倒される」
「そうかも知れないな……しかし……賀集丸よ……わしは最後まで諦めぬぞっ」
「無駄な足掻きはよせ……囨頭憑雲よ」
賀集丸の刃は囨頭憑雲の刃を持つ片腕を切り落とした。
「ぐわっっっ……」
血が噴き出す。しかしそれでも笑う囨頭憑雲。
「八……」
息絶え絶えの囨頭憑雲。が数えるのをやめない。
「さらばだ……囨頭憑雲」
「九……」
にやりと笑みを浮かべ無抵抗に隻腕になった両腕を広げる。まさに切れと言わんばかりだ。
「諦めたか……」
「いや……達成したのだ……」
「ほざけ……斬──!」
囨頭憑雲の顔から胴にかけ刃を振り下ろし囨頭憑雲まっぷたつにした。
「何が達成だ……この弱者め……」
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