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賀州丸の強さ
「滅──!」
賀集丸の刃を盗もうと素早く手を伸ばす偸盗を嘲笑うかのように躱した。
囨頭憑雲は驚いた。通常、人では敵わぬ偸盗をいとも簡単に切り伏せた。
「ここまでとは……」
「暇潰しにもならぬな……」
切り伏せた偸盗から巻物を奪う。するとその巻物は黒く光り、賀州丸に巻き付く。気づくと巻物は消え右腕に『偸盗』の刻印が入る。
「十悪のひとつ偸盗。字のごとく人から盗むということじゃ……」
「ということは巻物を奪うごとに俺の身体に十悪が刻まれるということだな」
「つまりそういうことだ」
「身体に十悪の刻印かぁ……俺にふさわしいじゃないか……悪の王に……」
賀集丸は武者震いした。
「ほう……そなたこそ悪人の極みぞっ……」
「では次の国に行こうか? 強いといいがこの程度の鬼たちを倒したところで悪の王になれるとは思わんがな」
「大したもんだな」
囨頭憑雲は賀州丸の強さを再認識し、次の国へ巣くう鬼の元へと向かった。
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