最後の一匹……

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最後の一匹……

 倒れこんだ瞋恚は心臓を貫かれピクリとも動かない。賀集丸はその場で肩で息をしながら尻餅をついた。 「九匹目……」  瞋恚から巻物を奪うと賀集丸の額に『瞋恚』の文字が刻まれる。背後から囨頭憑雲が近づく。 「見事なもんじゃの……」 「当然のことよ……この程度……あとは殺生のみ……なぁ……そうだろ?」 「そうだ……あと一匹で賀集丸……お前は王だ……」  賀集丸は振り向き刃を握り切っ先を囨頭憑雲に向ける。 「あと一匹とはお前のことか?」  囨頭憑雲はにやりと笑う。 「何を言っている……? 賀集丸よ……」  その瞬間切っ先は上空へ振り上げられる。さらりとかわす囨頭憑雲。しかしすべてはかわせず羽織っていたものは切られ胸元があらわになる。そこには胸元に『殺生』と刻まれた囨頭憑雲が立っていた。 「やはりな……お前が最後の一匹だ……」
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