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「もう最悪!」
あーあ。彼女はすっかり怒ってしまった。
「処分して!」
「え?」
「私と観た映画以外は全部捨ててちょうだい」
「いや、そんな…」
「それができないなら、もう私たちおしまいよ」
これは大変なことになった。
なるほど、こういうものを集めて置いておくというのは元カノのラブレターを取っておくのと同じか…などと感心している場合ではない。
そりゃ思い出し笑いしてニタニタしてて悪かったが、今好きなのは君だけだよ、と大声で叫びたかったし、パンフレットに罪はないのだ。
「あの、処分するよ、する、近々する、なんならここに置いとかずに実家に持ってくよ」
「ダメ!」
こうして彼女は私が処分すると言い出し、パンフレットを全部持って帰ってしまった。重いだろうに、こういう時の女性のパワーたるや凄いものがあるな、とあらためて感心した。
彼女が帰ったあと、僕は部屋でひとり肩を落とし座り込む。
彼女との関係ももう終わりだろう。
気が強かったけど、可愛くて素敵な女性だった。もうあんな娘と出会うことは二度とないかもしれない。
僕と別れるのはいいけど、あのパンフをどうするんだろう。それが心配だ。彼女の家はけっこう大きくて庭も広い。バーベキューもできるくらいだ。あの庭で火をつけて燃やされるのだろうか…
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