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「前から何度も言ってますけど、中村さんには私よりもお姉ちゃんの方が合ってるんじゃないですか?年齢的にも」
シャンパングラスに入った葡萄ジュースに口をつけながら、チラリと中村さんに視線を向ける。
それは私の本心で心からの願い。
そもそもどうして私?
一回りも年下の私より、お姉ちゃんの方が絶対にいいじゃん。
ちょうど婚活中だし。
大体この人に言われるがままに、お見合い話を受けたお父さんもお父さんだ。
私の相手より先にお姉ちゃんの相手を見つけてあげればいいのに。
「いえ、僕はチエミさんがいいんで」
「あ、そう。ロリコンなんですね」
「心外だな。僕はチエミさんの年齢や見た目ではなく心に惹かれてるんですよ」
「そりゃ、どうも」
空いたグラスをウェイターに渡し、調子のいいことを言う中村さんをじっと見つめ返す。
嘘つき。あなたが本当に欲しいのは私じゃないでしょう……?
でも、まぁいい。その方が私にとっても都合がいいから。
それに私にはこの人が必要だ。
この人が私を必要であるように。
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