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「そっか……。ありがとう」
「まぁ、何にせよ、学校を破壊してまで入学に漕ぎ着けた甲斐がありましたね」
「破壊したって人聞きの悪い」
「事実じゃないですか。学校中の窓ガラスを割るなんて正気の沙汰とは思えません」
「うっ……」
そこを突かれるとちょっと痛い。
中村さんの言う通り。
高校受験の3ヵ月前。私は朝1番に学校へ行き、お兄ちゃんが愛用していた金属バットで狂ったように学校中の窓ガラスを叩き割った。
入念に計画を練って行ったおかげで、邪魔も入らずスムーズに半分以上は割っていき。
暫くして教師陣がすっ飛んできたが、普段優等生な私が次々にガラスを割っていく姿は相当シュールだったんだと思う。
皆、口を開けたまま呆然と固まってた。
やらかしたことは完全にお兄ちゃんの真似っ子。
実際にお兄ちゃんが中学生の頃にやらかしたことだ。
最後もお兄ちゃんと同じく、唖然とする教師達に向かって『なめんじゃねーぞ!!ばーか』と中指を立てて叫び、取り押さえられ、そこで“チエミご乱心事件”は幕を下ろした。
『月見里学園に行きたい』と訴えたが両親にも教師にも『そんなアホ校…。難関校の推薦も貰ってるのに』と聞き入れて貰えず。
“だったら内申を下げまくってやるしかない”という安易な動機での犯行だった。
その日の晩。怒り狂った母に。
『チエミはん!あんたの心に巣食った悪魔を叩き出したるさかいな。覚悟しい!』と、竹刀片手にスクワット1000回、腕立て500回、腹筋300回、座禅2時間、反省文30枚をやらされたのは苦い思い出だ。
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