ZERO

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でもまぁ、皆が怒るのも分からなくはない。 確かにお兄ちゃんは悪いことばかりやらかしていたし、しょっちゅう警察にお世話になっていたから。 けど、私は強くて頼もしいお兄ちゃんが好きだった。 お兄ちゃんも私には溺愛に近く優しかった。 何かあれば秒殺で飛んできてくれたし、断ろうが何をしてようが遅くなれば迎えに来てくれた。 色んなところに遊びに連れてってくれたし、悩みがあれば相談にも乗ってくれた。 ちょっとした変化に気づいて、“私は彼女か!”ってツッコミたくなるくらい気遣ってくれた。 それこそ傷1つ付けさせない勢い……、だった。 私がお兄ちゃんに懐いていたから、っていうのもあるのかも知れない。 小さい頃はベッタリ後を追っかけ回していたし、ある程度年齢を重ねてからも、ちょくちょく一緒に居たがっていたから。 それに大人はどうであれ、友達も多かったと思う。 お兄ちゃんは狂暴ですぐに手が出るタイプだったけれど、正義感が強く明るく仲間思いで周りには常に人がいっぱい居た。 “チエミがあいつらに懐きでもしたら困る”なんて言って、自分の友達と私をあまり接触させたがらなかったけど。 いつも遠目で見掛ける限りでは楽しそうにしていたし、お葬式の時も結構な人数が集まっていた。
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