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早熟だった嵐に追いついて、私の身体は大人の女性に変化して。あるいは最初から、私たちの成長の歩幅もスピードも同じで。
嵐にとって、私だけが、大切な唯一の異性となって。
女たらしでも色狂いでもない嵐と、年相応に熟していく私は、私たちは、ふたりだけの閉じたせかいで、ままごとみたいに幼稚な性交をする。ひっそりと熱を交わし合う。
そんな想像をしながら、夜、自室のベッドのなかで、寝間着に隠した、いっこうにふくらむ気配のない胸にそっと触れた。同じ夜を、嵐はどう過ごしているのだろうと考えながら。
嵐は慣れた手つきで、私の身体をほぐしていった。気が遠くなりそうなほどゆっくりと、じっくりと、長い時間をかけて。
途中、反射的に何度も拒んで閉じようとする身体を、嵐は優しく開いて、その度に「大丈夫だから」と耳許でささやいた。
限界までほぐされて、中身がすべてどろどろに溶け出しているのではと錯覚してしまうほどにほぐされて、意識が融解しかけてきた頃になって、やっと、おとこはゆっくりと入ってくる。
子どもが産まれるときの産道になるという本来の機能を、きっと一生為すことのない膣は、男を受けいれるのも初めてだった。
何度も朔郎さんと試してみたことはあった。でも一度だって成功しなかった。彼になんら落ち度はなく、百パーセント私の問題だ。
朔郎さんのことを思い出して罪悪感が胸に去来した刹那、嵐の声で引き戻される。
「菫、集中して」
情欲に溺れた切実な瞳が私の心臓を貫いて離さない。
「俺だけに、集中して」
嵐は驚くほどすんなりと私のなかに入ってきた。それが当たり前のことであるように。
はじめての行為は痛いなどという、少女だった頃に耳にした話が脳裏に浮かぶ。
痛みなんてなかった。圧倒的な下腹部への圧迫感が、心地よくすらあった。
嵐のそれは、私のなかにぴったりとおさまった。
最初からそうあることが決まりきっていたかのように、最初からつがいとして対になるべく形取られていたかのように。寸分の狂いもなく、私のかたちに嵐のかたちが嵌まり込んでいるのがわかった。
「わかる? 菫のなかに俺がいるの」
「うん、わかる。あつい」
「ゆっくり、動くから、怖かったり、痛かったりしたら、言って」
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