菫と、一杯のシャンパン

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 意味のない、この行為に、二度目はない。  私の身体はまたきっと固く閉じてしまって、嵐がそれをまた丁寧に開かせることは、ない。最初で最後と約束したわけではないのに、直感した。  離れすぎて、近づきすぎてしまった。距離感が完全に狂ってしまった私たちは、もう隣どうしにはいられない。  いくら、魂がふるえるほどに求める相手でも。  これ以上を求めてしまったら、互いを傷つけてしまうような、互いに壊れてしまうような、かなしい確信があった。  いつのまにかあまりにも違ってしまった私たちが寄り添って生きることなんて不可能だという事実が、そのかなしい確信をもたらした。  私は嵐のなかに生まれる情欲のすべてを受け止めることはできないし、嵐はいつも私を宝物のように扱えるわけがない。  よく一緒に過ごしたあの頃のように、ただ自然に、ただ心地よいままに、隣に居続けることなどできはしないのだ。  恋のはじまりは、恋の終わりと一緒にやってきた。  拳ひとつ分の距離を挟んで、私たちの恋は、二度と、永遠に、はじまらない。    
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