25歳ーⅡ

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 しあわせとは何だろう。 「わたしは本当に、律のことを愛しているんです」 「嘘だ……全部……」  なにかを堪えるように俯いて、顔を手のひらで覆う、彼の様子に何も思わないわけにはいかなかったけれど。  これ以上、私と彼が一緒にいるわけにもいかなかった。  その日の午後、経理部長に退職の意を申し出た。  理由を訊かれ、善良な部長は、引きとめるようなことも言ってくれたけれど。人間関係などで思い悩み、そのことが身体の不調につながり、もう我慢の限界なのだと伝えた。  私のいろいろな悪い噂や、特に女性社員から遠巻きにされ、たまに陰口など言われていることを知っている部長は、それからなにも言わなかった。 「私のデスクにある植物、部長が引き取ってくださいませんか。なにに育つのかはわかりませんけど」  唯一の気がかりである紅茶缶に植わったあの小さな芽。託すとしたら部長しかいない気がした。部長は頷いてくれた。 「わかったよ。植物は、無事育ったら何だったのか教えてあげよう。だからきみも、どうか元気で」  
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