きゅう

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期待を込めて横目で左隣の席に座る芽実ちゃんを確認する。 だけど、当の芽実ちゃんは「最高…」と溜息混じりに呟きながら恍惚の表情を浮かべていて、ぎょっとした。 め、芽実ちゃん…!!?? 驚きで呆気に取られていると、再び聞こえた絶叫に「っ、う」ビクッと肩が跳ねて、右隣の席に座る由良先輩に思わず抱き着く。 すぐに、ハッとして身体を離そうとするけど、由良先輩の腕が肩に回って引き寄せられて 「綺來、怖いなら抱き着いてていいよ」 耳元に顔を近付けて、小さく囁いた。 はあああっ、由良先輩優しいっ!! こんなの惚れてまうやろーーーーっ!!!いやもう既にベタ惚れですけどね!!!! こういうのってデートっぽくて凄くいい!いいけども!! ラブイベントが来て欲しいのは私の方じゃなくて、芽実ちゃんになんだよなぁ!!!! とは言っても映画は怖いことには変わりない。 お言葉に甘えて由良先輩の腕に抱き着いてじっとしていると、不思議と恐怖は薄れて、あっという間に映画を見終わっていた。
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