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私は、自分の目を疑った。
だって足元に転がる男を殴りつけたのが青葉くんで、そして何より、こっちがムカつくくらいにいつも笑顔を貼り付けている青葉くんが、今はまるで感情が抜け落ちたように無表情だったから。
「なぁ…、お前…お前さ、芽実はお前みたいな奴が汚していい子じゃねぇんだよ。」
「……う、」
「おい。聞いてんのか。」
より一層、声を低くさせた青葉くんは男が気絶してるのにも関わらず、頭に足を乗せると何度も何度も踏みつける。
呻き声が聞こえようがお構いなしだ。
あまりの恐ろしさに男の仲間達は悲鳴を上げて腰を抜かしていた。
この人、本当に青葉くん…??
青葉くんの変貌ぶりに驚愕していると、いきなり肩を掴まれて強制的にグイっと方向を変えさせられると、色素の薄い瞳と目が合う。
由良先輩は私の身体を確認するように、上から下まで視線を動かして「綺來、大丈夫?怪我してないか??」心配そうに顔を険しくさせる。
「だ、大丈夫ですよ!この通り、怪我ひとつしてないです!!」
こくり、頷きながら両手を広げてどこも怪我していないことをアピールすると由良先輩は安心したようにほっと息を吐いた。
「良かった。もし、綺來にかすり傷一つでもあったら、あいつら半殺しにするところだった。」
え、何、この兄弟、物騒すぎません????
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